役員等の株式会社に対する損害賠償責任 判例@

裁判年月日: 平成6年12月22日    裁判所名 : 東京地方裁判所
事件名  : 滑ヤ組株主代表訴訟事件   上訴等  : 確定 責任区分 : 法令違反

1.事案の概要    

A社の株主であるXらは、Y取締役に対し、同取締役が町長に1400万円を供与した行為は、刑法上の贈賄罪等に該当し、取締役の任務に違反する行為であり、A社に対し同額の損害を生じさせたとして、株主代表訴訟により損害賠償を請求した。
裁判所は、Xらの主張を認め、Y取締役に対し、A社へ1400万円を支払うよう命じた。

2.主な争点

Y取締役の行為が、旧商法266条1項5号の法令・定款違反行為となるか否か。

3.裁判所の判断

会社がその企業活動を行うに当たって法令を遵守すべきであることはいうまでもないが、とりわけ贈賄のような反社会性の強い刑法上の犯罪を営業の手段とするようなことがおよそ許されるべきでないのは当然である。(中略)従って、贈賄行為は、たとえ会社の業績の向上に役立ち、会社のための営業活動の一環であるとの意識の下に行われたものであったとしても、定款の目的の範囲内の行為と認める余地はなく、取締役の正当な業務執行権限を逸脱するものであり、かつ、贈賄行為を禁ずる刑法規範は、取締役が業務を執行するに当たり従うべき法規の一環をなすものとして、商法266条1項5号の「法令」に当たるというべきである。そうすると、Y取締役の本件贈賄行為は、法令及び定款に違反する行為として、会社に対する損害賠償責任を生じさせることになる。

4.補足

取締役を始めとする役員等は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います(会社法423条1項)。
そして取締役は、法令および定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならないとされています(会社法355条)。
従って、法令や定款を遵守することが取締役の任務となるため、法令や定款に違反すれば任務を怠ったものとして、会社に対する損害賠償責任が生じることとなります。

以 上
2009/8/7

             


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