役員等の株式会社に対する損害賠償責任 判例B

裁判年月日: 平成19年1月18日         裁判所名 : 大阪高裁
事件名  : ダスキン株主代表訴訟事件       上訴等  : −
責任区分 : 法令違反

1.事案の概要    

食品販売会社の株主が、元取締役らの会社に対する損害賠償責任を追及した株主代表訴訟。 元取締役らは、商品に無認可添加物が混入していることを認識したにもかかわらず、これを隠して販売継続を決定し、事実を公表せずに通報者に口止め料を支払うなどの行為に及んだため、食品衛生法違反および取締役の善管注意義務違反と認定された。    
会社の損害として、信用失墜から売上減少が生じ、加盟店への営業補償金、キャンペーン関連費用、特別対策費用、信頼回復費用、メニュー変更関連費用などが発生したとして総額約105億円を認定し、その半額にあたる約53億円について取締役らの損害賠償責任を認めた。

2.裁判所の判断  *読み易くするため一部変更

(1) 取締役の会社に対する責任を定めた旧商法266条1項5号にいう「法令」には、会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定が含まれると解するのが相当であるところ(最高裁平成12年7月7日判決)、食品衛生法6条は、同社がその業務を行うに際して遵守すべき「法令」にあたる。     元取締役らが、無認可添加物が混入していることを認識しながら、販売を継続した行為が同法に違反することは明らかである。

(2) また、問題が発覚した時点で、元取締役らには、商品の販売中止回収、関係当局への通報、事実の公表、購入者に対する注意換気等の措置をとるべき善管注意義務があったにもかかわらず、元取締役らは、事実を隠蔽し、上記のような措置を取らなかったのであり、これは同義務に違反する。

3.補足  

本件で問題となった無認可添加物は、他の国では使用許可され、WHOでも毒性非検知とされていたなどの微妙な事情もあったため、経営判断の原則の適用も争われました。しかし、裁判所は、日本における食品衛生法違反である事実は動かし難いことや、事実を公表せずに販売を継続して消費者の食の安全を軽視したことなどを指摘し、取締役らの責任を認定しました

以 上
2009/10/1

             


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