役員等の株式会社に対する損害賠償責任 判例C

裁判年月日: 平成5年9月21日          裁判所名 : 東京地裁
事件名  : 日本サンライズ株主代表訴訟事件    上訴等  : 控訴
責任区分 : 善管注意義務違反、新規事業における経営判断

1.事案の概要    

会社の代表取締役や取締役らが、同社の営業規模等に照らして不相当に多額の借入を行い、この借入金を原資として株式投資を行ったことが同社に対する善管注意義務に違反すると主張し、同社の株主である原告が、上記取締役らを被告として、同社が被った損害の賠償を請求した事件。    
裁判所は、取締役らの善管注意義務違反を認め、会社に対して、連帯して約2億9500万円の支払い義務を認めた。

2.裁判所の判断  *読み易くするため一部変更

(1)代表取締役について     

取締役は、会社に対し、会社の資力及び規模に応じて会社を存亡の危機に陥れないように経営を行うべき善管注意義務を負っており、新規事業については、会社の規模、事業の性質、営業利益の額等に照らし、その新規事業によって回復が困難ないし不可能なほどの損失を出す危険があり、かつその危険性を予見することが可能である場合には、その新規事業をあえて行うことを避止すべき善管注意義務を負う。     
本件株式投資は会社に損失を被らせる危険があり、代表取締役は投資内容の問題点に気づいていたにもかかわらず、投資一任契約を解約せずに継続していたことは、取締役としての善管注意義務に違反する。

(2)他の取締役について     

取締役は、会社に対し、取締役会に上程された事柄についてだけ監視するにとどまらず、取締役の業務執行一般につき、これを監視し、必要があれば、取締役会を自ら招集し、取締役会を通じて会社の業務執行が適正に行われるようにすべき職責を負う。     
本件で他の取締役らは、代表取締役が多額の借入をして株式投資することを黙認したのみならず、代表取締役の経営方針に賛成していたことが認められ、代表取締役の業務執行に対する監視監督を怠った点で善管注意義務に違反したといえる。

(3)経営判断について    

本件で、株式投資が会社の定款の目的になっていたとしても、取締役らが、会社の返済能力を超えた多額の借入をして株式投資に充て、これを抑止しなかったことは、経営者に許された合理的裁量の範囲を超える。

以 上
2009/10/5

             


Copyright (C) 真法律会計事務所, All Rights Reserved.

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の事項に対して具体的なアドバイスをするものではありません。また、本記事に掲載されている情報の正確性及び最新性の確保については万全を期しておりますが、法律・政令の改正等により、最新の情報と異なる記載となる場合があり、その完全性を保証するものではありません。