取引先(法人)が破産した場合の手続の流れA
―債権者の立場からみた破産手続―

【破産債権の届出】 今回は破産手続の流れのうち、破産債権の届出について説明します。

破産申立て(法18・19)
   ↓
保全処分等(法24〜28・91〜96)
却下(法21E)又は棄却(法30)
   ↓
破産手続開始決定(法15・30)→同時廃止(法216)
※決定事項(法31):@破産管財人の選任、債権届出期間、A財産状況報告集会期日、B債権調査期間(債権調査期日)
   ↓

     → <破産債権の処理>
       @破産債権の届出(法111〜114)
       A破産債権の調査(法115〜123)
       B破産債権の確定手続(法124〜133)
     → <破産財団の処理>
     → <その他>

1. 破産債権の届出

(1)破産債権の届出 破産手続に参加するためには、破産債権届出期間内に届出をする必要があります(法111T)。債権の届出事項は法定されていますが(法111T・U)、通常は、裁判所より破産開始通知書とともに送られてくる債権届出用紙に記入すれば足ります。    
破産債権の届出(債権の確定)をしないと、債権者集会が開かれた場合の議決権の行使(法140)や配当の受領(法193)など、破産手続に参加し、権利を行使することができません。    
また、破産債権の届出は、消滅時効の中断の効力があります(民147・152)。従って、例外的に債権届出期間が定められない場合であっても、裁判所へ債権届出をすることにより時効中断の効果を発生させることができます。

(2)特殊な債権の届出   

a)手形債権の届出      
通常、手形が現実に成立した商取引に基づき振り出された場合、手形債権と原因債権(現実の商取引による代金債権など)は、特段の合意がない限り併存します。      
このように手形債権と原因債権が併存する場合、いずれかの債権を届け出ることができます。手形債権の届出の場合は、証拠資料として手形の写しを提出すればよく(ただし、手形要件を欠く場合は無効)、原因債権の届出の場合は、請求書、納品書、契約書等の写しを提出する必要があります。また、手形債権の届出の場合、付帯請求として年6%の法定利息を請求することになりますが、原因債権の届出の場合は、約定があれば法定利息以上の約定利息を請求することができます。      

b)別除権付債権の届出      
別除権者(別除権付債権を有する債権者)は、別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の額に限って破産債権者としてその権利を行使することができます(法108T)。別除権者は、一般の破産債権の届出内容のほか、
@別除権の目的である財産、
A別除権の行使によって弁済をうけることができないと見込まれる債権の額を届け出る必要があります。   

c)条件付債権の届出      
破産債権が条件付債権であっても、破産債権者は、その全額を破産債権として届け出ることができます(法103W)。ただし、通常の債権と異なり、相殺及び配当に関して特別の取扱いがされます。      
停止条件付債権の債権者が、破産者に対して債務を弁済する場合(例えば、敷金返還請求権を有する賃借人が賃料を弁済する場合)、後に相殺するため、その債権額の限度において弁済額の寄託を請求することができます(法70・寄託主義)。他方、停止条件付債権の債権者は、最後配当の除斥期間内に条件が成就して、破産債権が行使できる状態になっていない限り、配当を受けることができません(法198U)。      
解除条件付の債権者が相殺をするときは、その相殺によって消滅する債務の額について、破産財団のために、担保を提供し又は寄託しなければなりません(法69)。また、中間配当を受けるには、相当の担保を供しなければならず(法212T)、担保が供されていない場合、破産管財人は、中間配当額を寄託しなければなりません(法214)。そして、最後配当の除斥期間内に解除条件が成就しないときは、それぞれ担保は効力を失い、寄託した金額は当該解除条件付破産債権者に支払われ(法201V)、最後配当を受け取ることができます。他方、最後配当の除斥期間中に解除条件が成就すれば、担保又は寄託された金額、最後配当すべき金額は、すべて他の破産債権者に配当されます。

*用語解説*

破産債権届出期間…破産債権届出期間は、裁判所が破産手続開始の決定と同時に定めます(法31T)。この期間は、原則として、破産手続開始の決定の日から2週間以上4ヶ月以内の範囲内で定められます。

別除権…別除権とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産に対し特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者で、これらの権利の目的である財産に対して破産手続によらないで行使できる権利をいいます(法2\)。

条件付債権…条件付債権には、法律行為の効力の発生を将来に不確実な事実の成否にかからしめる条件のある停止条件付債権と、法律行為の効力の不発生を将来の不確実な成否にかからしめる条件のある解除条件付債権があります。

最後配当の除斥期間…最後配当の除斥期間とは、破産管財人による最後配当の公告が効力を生じた日など(法197T)から起算して2週間以内をいいます。

以上
2009/11/13

             


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