消費者契約法のポイント

近時、大阪高裁において、賃貸借契約に定められた更新料約定が消費者契約法第10条に違反し無効であるとの判決が下され(大阪高判平21.8.27)、世間の注目を集めています。上記更新料無効判決の根拠となった消費者契約法について、そのポイントを解説します。

第1 消費者契約法の目的

消費者契約法は、消費者と事業者との間には、情報の質及び量、交渉力に格差があることを前提として、消費者の利益の擁護を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。

第2 適用対象    

消費者契約法は、「消費者」と「事業者」との間で締結される契約(「消費者契約」といいます。)すべてに適用があります。    
「消費者」とは、個人をいいます(ただし、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人は除かれます。)。 「事業者」とは、法人その他の団体と、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいいます。

第3 消費者の取消権    

消費者契約法は、事業者の不適切な行為(不実告知、断定的判断、不利益事実の不告知、不退去、監禁)により、消費者が誤認・困惑して契約を締結した場合には、消費者は契約を取り消すことができると規定しています。    
この取消権は、誤認したことに気が付いたとき、または困惑を脱したときから6か月間、契約締結時から5年以内に行使する必要があります。

第4 消費者契約の条項の無効    

消費者契約法はまた、消費者にとって不当な契約条項の一部又は全部を無効とする規定を置いています。 同法により無効とされる契約条項とは、下記のようなものです。    

@事業者の損害賠償責任を免除又は制限する条項  
・事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項  
・故意又は重過失による事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項  
・消費者契約における事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項  
・消費者契約における故意又は重過失による事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項  
・消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項(ただし、事業者等が目的物を交換又は修補する責任がある場合を除く)

A消費者が支払う損害賠償額を予定する条項等  
・消費者契約の解除に伴う損害賠償額を予定し、又は違約金を定める条項で、これらを合算した額が、当該事業者の「平均的な損害の額」を超える場合、その超える部分については無効となります。  
・消費者契約に基づく金銭の支払いを消費者が遅延した場合の損害賠償額を予定し、又は違約金を定める条項で、年14.6%超える損害賠償額等を定めるものは、年14.6%を超える部分については無効となります。

B消費者の利益を一方的に害する条項  
・民法、商法その他の法律の任意規定の適用による場合に比べ、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項で、民法第1条第2項の信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効となります。     

※更新料無効判決(大阪高判平21.8.27)は、消費者契約法の当該規定を根拠に更新料約定を無効としました。                    

第5 消費者団体訴訟制度 

消費者被害は、類似の被害が多数発生する傾向にあります。
こうした被害が広がる前に事業者による不当な行為・契約条項の使用自体を差し止めて、消費者全体の利益を擁護するため、一定の消費者団体に事業者の不当な行為等に対する差止請求権を認める消費者団体訴訟制度が設けられています。

差止請求権を行使する業務の遂行を認められるのは、内閣総理大臣が認定した適格消費者団体に限られています。
消費者団体の適格要件のうち、重要なものを以下に列挙します。
@不特定多数の消費者の利益擁護のための活動を主たる目的とすること
A相当期間、継続的な活動実績があること
B特定非営利活動法人又は公益法人(「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の施行後は、一般社団法人又は一般財団法人)であること
C組織体制や業務規程が適切に整備されていること
D理事及び理事会の適合要件をみたすこと
E消費生活及び法律の専門家が確保され、差止請求関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すること
F経理的基礎があること
Gその他(差止請求関係業務以外の業務を行う場合は、差止請求関係業務の適正な遂行に支障がないこと、業務規程に一定の記載事項が定められていること、暴力団員等がその事業活動を支配する法人でないこと)

※内閣府「消費者の窓」のホームページから、認定された適格消費者団体の一覧が確認できます。

以上
2009/9/11
2010/2/11更新

             


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